依存症の再発しやすさ
アパリクリニック理事長ブログ 「ほっとひといき」にようこそ。
依存症は再発しやすい疾患です。「再発」というと、ガンのように手術で摘出してしまってすっかり体から消えたはずの疾患が、再び悪化することをさします。依存症の場合には、やめたはずの飲酒や薬物使用、ギャンブルなどをまた再開してしまうことを「再発」と呼びます。「スリップ」や「リラプス」というよびかたも使われます。
たとえば、覚せい剤使用によってくりかえし逮捕されてしまうことは、覚せい剤依存症の1つのあらわれということができるでしょうが、逮捕や刑務所への収監という経験をへながらもまた繰り返し逮捕されるひとが何十パーセントにもなるというのです。この覚せい剤事件の再犯率の高さそのものが、覚せい剤依存症の再発しやすさを示すものと言うことができます。
このように依存症は再発しやすい疾患です。断酒を決心したアルコール依存症のかたが再飲酒にいたってしまったり、逮捕拘留や裁判などの過程をへて、すっかり反省したはずの覚せい剤事犯が再発をくり返してしまうことは、依存症という疾患の本質からすると、いわば当然のことなのです。
そこで「再発しやすさ」に焦点を当てて、それを避ける、予防することが治療になります。たとえば脳の中の「また飲酒したい、薬物使用したい」という気持ちの本体がどういう現象かが解明され、その部分に作用するような薬があればそれが治療になるでしょう。また、再発しやすさの心理学的メカニズムを検討し、再発過程を止めるような心理学的とりくみが治療になるでしょう。
また一方で、同じ依存に苦しむ人どうしが語り合う「自助グループ」も回復のために必要であると考えられます。
現在の依存症治療は、こうした医学的、心理学的なとりくみと、「自助グループ」の活動を組み合わせたものということができます。
今日も読んでいただきありがとうございます。ではまた。