ほっとひといき〜理事長ウメノ医師の休けい室

「ダメくま君」、「ダメ。ゼッタイ。君」と記念写真

昨年「清瀬市健康大学」の講師のご依頼を受け、ごらんのように「ダメ。ゼッタイ。君」と「ダメくま君」とご一緒させていただき、記念写真をとりました。

「ダメ。ゼッタイ。」とは日本の薬物対策の象徴とも言える標語で、「とにかく最初の一回の薬物乱用をさせない」ということを強調して薬物に対する忌避感を醸成しようとしたものでしょう。

実はわれわれ依存症からの回復をめざす立場からは、こうして「まず一回の使用をさせない」ということに力点がある薬物対策というのは、あまり評判がよくありません。というのは、ともすれば国や行政の対策が「まず最初の一回を使用させない」ということに力点がありすぎて、「実はやってしまったことがある」、「最近も使ってしまったが、もうやめたい」という人たちへの対策が不十分になってしまっていると感じるからです。

かつて「覚せい剤やめますか?人間やめますか?」という標語が使われたわけですが、この標語は覚せい剤使用の後遺症として人間性が失われてしまうようなことが起こりうるというこわさを強く表現することには成功していますが、「一度でも覚せい剤を使った人は、もうまともな人間ではない」という誤ったメッセージを伝えることにもなってしまっているからです。薬物使用のご本人たちはもちろんのこと、ご家族にしてみれば、こうしたキャンペーンのためにどれほど苦悩されるものか、想像を絶するものがあります。

実際には覚せい剤のような薬物乱用から回復しようとしている人たちの多くは人間的ですし、その生きざま、回復のありようは時に感動的でさえあります。「やめたいと思ってもやめることができない」という、どうしようもない状態のなかでもがき苦しんで、そこから鮮やかに回復をとげた人々の姿は多くの人々の希望にもなりえるものです。

ということで、「ダメ。ゼッタイ。」的なキャンペーンは薬物依存症の回復支援の立場からみると、残念なところがあります。国や行政には、もっともっと「やってしまったけれど、今後はやめたい」と感じている人がうまく治療的な取り組みにはいることができる仕組みをぜひ検討していただきたいと感じています。

ともあれ長年、日本の薬物対策のひとつの象徴としてがんばってこられた「ダメ。ゼッタイ。君」に敬意を表して、記念写真撮影とあいなりました。(それにしても「ダメ。ゼッタイ。君」の見得きり、見事じゃありません?)

 

掲載:2020/1/22 |



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