ほっとひといき〜理事長ウメノ医師の休けい室

ロックフェスは心に効く?~楽しくて、そのあとちょっとさびしい~

フェスがくれる、こころの解放

そろそろ今年もフェスの季節ですね。野外の空の下、大音量の音楽とともに身体を揺らし、叫び、笑い、時に泣く——そんな時間は、日常のストレスを一気に吹き飛ばしてくれる魔法のようです。でも、実はロックフェスって、メンタルヘルスとも深く関係しているようです。

フェスの魅力のひとつは、なんといっても“感情を出せる場”であること。日常では抑えている気持ちを、大声で歌ったり、ジャンプしたり、涙を流したりしながら自然に表現できる。心理学ではこうした作用を「カタルシス(感情の浄化)」と呼び、ストレスを減らす効果があるとされています。

また、見ず知らずの人たちとも音楽を通じてつながれるのがフェスの不思議な力。知らない人と笑い合い、肩を組むような瞬間が「自分はここにいていいんだ」という感覚につながり、自己肯定感を高めてくれることもあるのです。

フェスにひそむ依存のリスク

ただし、フェスには注意しておきたい側面もあります。とくに気をつけたいのが、アルコールなどへの依存です。フェスという非日常的な空間では、つい飲みすぎたり、まわりに流されて普段ならしないことをしてしまったりというリスクがあります。もともと依存症の傾向がある方や、過去に問題を抱えていた方にとっては、フェスの開放感が逆に“再発のきっかけ”になる可能性もあるのです。

また、フェスそのものが「逃げ場」や「唯一の心の支え」になってしまうと、次第にそれがなければ落ち着かなくなり、日常が空虚に感じられるようになることもあります。これもまた、一種の“行動依存”になりうるのかもしれません。

「フェス後うつ」にご用心

フェスの後、「なんとなく元気が出ない」「急に孤独を感じる」といった“フェス後うつ”の状態になる人も少なくありません。楽しい時間の反動で気分が落ち込んでしまうのは、けっして珍しいことではないのです。

自分に合った楽しみ方が、こころを守る

ロックフェスをメンタルヘルスにとってプラスな体験にするには、自分の状態をよく知り、無理をしないことが大切です。「人混みが苦手なら、混雑する時間を避ける」、「夜通しのイベントがきついなら、日中だけ参加する」、「ひとりで不安なら、信頼できる人と一緒に行く」そういった工夫が、心と身体を守ってくれます。

フェスは「魔法」じゃない。でも、きっと効く

ロックフェスは、日常から少しだけ離れて、音楽の力で心をゆるめられる貴重な時間。でも、それがすべてを解決してくれる“魔法”ではないことも、同時に知っておきたいですね。音楽の楽しさと、こころの健康。その両方を大切にできたとき、フェスはきっと、あなたのメンタルヘルスにとって「いい効き目」を持つ場所になるはずです。

掲載:2025/7/30 |



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